ヒグマを駆除した札幌市に抗議が殺到
――土下座の件は全国ニュースになりました。
三好 ただ、あれは極端な例で、カスハラ行為について法的責任を問うのはやはりハードルが高いんです。刑法犯に該当しないといけませんから。
サービスを提供する側は気持ちよく商行為ができて、サービスを受ける側も相手の気持ちに立って考えるようになれる。そうした環境をつくる必要があるというのが、条例制定へ向けた動きのスタートラインなのです。
――道内では昨年、ヒグマを駆除した札幌市に業務に支障が出るほどの抗議電話が殺到し、職員へのカスハラではないかと批判されました。秋田県の自治体でも同様の事案が発生しましたが、「サービスをする側」には、自治体職員などの公務員も念頭にありますか。
三好 もちろんあります。商行為だけではなく、行政や医療機関、学校などの教育現場、福祉施設なども同じ。利用者はカスタマーと同義だと思います。
――何をカスハラと感じるかは、人によって基準が分かれそうですが、この条例におけるカスハラの定義はどのような内容になる見通しでしょうか。
滝口 定義をどうするかというのが一番難しい問題で、現段階で決まっていることはありません。ただ、「サービスをする側の受忍限度を超える消費者の行為」というものが一つのポイントになると思います。カスハラを受ける側の立場で考えて、受忍限度というものをうまく表現できれば、何がカスハラに当たる行為なのかということを示せるのではないかと思います。