2022年に北海道斜里町の車道に降りてきたヒグマ(本文に出てくる駆除されたヒグマとは関係ありません)
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 客が理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の防止条例制定に向け、北海道議会最大会派の自民党・道民会議が20日、会派内に検討部会を設置した。社会問題となっているカスハラだが、飲食店や小売店だけではなく、昨年はヒグマを駆除した道内の自治体に業務に支障が出るほどの抗議が殺到するなど、事態は深刻化している。条例制定を目指す狙いを自民党・道民会議の議員らに聞いた。

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 自民党・道民会議は、年内の条例制定を目指すとしている。他の会派からも意見を聞き、全会派での共同提案としたい考えだ。

 カスハラ防止の条例は前例がない。東京都も年内の制定に向けて動きだしており、先に制定した方が「全国初」となる公算が大きい。

 今回、取材に応じたのは、会派会長の三好雅、幹事長の安住太伸、検討部会座長の滝口直人の3氏。

――なぜ今、条例化に向けて動きだしたのですか。

三好 道内は人口減少が続き、働き手が不足しています。より働きやすい職場環境を作り、雇用につなげていく必要があると考えたからです。

――カスハラが人手不足の一因になっている可能性があると?

三好 道内で言えば、2013年に札幌市の衣料品店で、女性客が購入した商品にクレームをつけて返品した際、店員に土下座を要求し、その様子を撮影してSNSに投稿する事案が発生しました。その後、この客は強要の疑いで逮捕されました。

 この他にも、飲食店や接客業などで、サービスを提供する側に暴言を吐いたり、なにかを強要したりといった事例が多発しています。サービスをする側と、受ける側の関係性が、大きく変わってきていると実感しています。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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自治体職員への「カスハラ」も対象