厚生労働省が企業向けにつくったカスタマーハラスメント対策マニュアル

道民からは想像以上の反響

――罰則については?

三好 幅広い視点で検討する必要があると思っています。罰則がない条例は「理念型」で、規制にならないという論調があることは承知しています。ただ、飲酒運転も厳罰化によってゼロになったわけではありません。

 カスハラを許さない環境をどうやって作るか。相手の立場を理解する努力をするということが、ハラスメントを防止する上で非常に大事になってくる。それにつながる仕組みづくりができるかどうかという点が重要になります。

安住 罰則を盛り込むことも一つの選択肢で、当然、検証していかないといけません。

 カスハラを根絶していくためにどのようなアプローチが必要なのか。そもそも、なぜ昨今、カスハラが多発しているのか。その理由や背景をしっかり把握したうえで、より有効な対策を条例の中に盛り込んでいく必要があります。

滝口 罰則は抑止力はありますが、発生した事案ごとに判断が分かれてしまう可能性も否定できません。例えば事案を公表するとか、罰則ではない形で実効性を担保することはできないか。そういうことも今後、検討していきたいと思います。

――現段階での、道民の反応は?

三好 想像以上に反響がありました。カスハラのような行為について、考えていた人がそれだけ多かったということなのでしょう。われわれが勝手にルール化するのではなく、今後は経済団体や労働者団体、市町村などとしっかり話し合って、合意していきたいと考えています。道民からのパブリックコメントも募集する予定です。カスハラについてみんなで考えて、未然に防いで行きましょうというスタンスでやっていきます。

――それだけ、期待値が高いということですね。

安住 条例制定の動きについて関心が高まり、さまざまなご意見をいただけると期待をしています。非常に深刻な問題ですから、一日も早く、実効性のあるものを作りたいと考えています。

(構成/AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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