テイラー・スウィフト「ザ・エラス・ツアー」日本公演。グラミー賞で史上最多の4度目となる年間最優秀アルバム賞などを受賞した直後の来日だった=2024年2月7日、東京ドーム(写真:AP/アフロ)

 ブルーノ・マーズが「ヘビーローテーション」カバーで大バズり、テイラー・スウィフトが東京公演の直後にプライベートジェットでスーパーボウル観戦へ──。大物アーティストの来日で洋楽を身近に感じる話題が増えているが、一方で円安の影響等で来日が遠ざかっているバンドもある。メタルファンのライターが現状を分析する。AERA 2024年2月26日号より。

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 プロ野球がオフシーズン真っ只中の1月と2月、東京ドームでは多くのコンサートが開催されて賑わっている。その中でも今年顕著だったのが洋楽アーティストの来日公演だ。1月はブルーノ・マーズが実に7公演。ビリー・ジョエルとエド・シーランが1公演ずつ。2月はテイラー・スウィフトが4公演、クイーン+アダム・ランバートが2公演、これに加えてK−POP系の公演も4回行われる予定だ。

 特にこの2月、約3時間にも及ぶ熱演を4日連続で披露し、直後にアメリカのスーパーボウルを観戦したテイラー・スウィフトは大きな話題になった。直前にはグラミー賞で4度目となる最優秀アルバム賞も受賞しており、まさに合間を縫っての来日だったわけだが、5年ぶりの日本ツアーでは300億円以上の経済効果とも報道されたほど。

 クイーン+アダム・ランバートの来日公演も大盛況だ。こちらは約4年ぶりだったが、昨年末の「NHK紅白歌合戦」出場も話題となり、「クイーン」時代を含めても初のドーム公演は当日昼間のグッズ先行発売から長蛇の列ができた。

メタリカなぜ来れない

 一方で、ファンが来日を待ち焦がれながら、なかなか実現しないアーティストもいる。ヘヴィーメタル界隈で特に待たれている筆頭がメタリカだ。

 メタリカの来日公演は2013年の「サマーソニック」以来行われていない。単独公演に至っては2010年以来だ。この間にアルバムも2枚リリースしてワールドツアーもコンスタントに行っているが、日本には来ていないのである。

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