上田ケンジと小泉今日子による音楽ユニット、黒猫同盟(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 上田ケンジ(音楽プロデューサー)、小泉今日子(歌手・俳優・プロデューサー)による音楽ユニット黒同盟。本をテーマにしたポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん」の音楽制作のために結成され、2021年にアルバム「Un chat noir」、今年2月22日に2ndアルバム「ムーランルージュの黒猫」を発表。また、2022年の杉並区長選挙を記録したドキュメンタリー映画『〇月〇日、区長になる女。』の音楽を担当するなど、活動の幅を広げている。「下の世代の人たちのためにも、大人が楽しく音楽をやっている姿を見せたい」(小泉)という二人に、音楽を続ける意義、音楽と社会の関わりなどについて聞いた。

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――黒猫同盟はもともと、小泉さんのポッドキャスト番組「ホントのコイズミさん」の音楽を制作するために結成されたとか。

小泉今日子「ポッドキャスト番組でよく流れているライセンスフリーの曲がカッコイイ曲ばかりであまり好きではなくて(笑)。自分たちで作ったオリジナル曲だったら使えるということだったので、上田さんを恵比寿の喫茶店に呼び出して、“こんな番組をやるんだけど、曲を作ってくれない?”と話したのが最初です。2~3曲あればいいかなと思ってたんですけど……」

上田ケンジ「どんどん作ってしまって(笑)」

小泉「そのときから黒猫同盟という名前はあったんですよ。“猫の目線で社会を見て、ちょっと風刺的ことも歌いたい”という話をしたら、上田さんの脳みそがグルグル動いたみたいです」

上田「ちょうど2020年のコロナ禍だったから、社会に対して言いたいことがたくさんあったんですよね。猫目線だったら、“自分じゃなくて、猫が言ってるんだよ”と言うことにできるかなと」

小泉「直接歌ってもいいんだけど、あまり目くじら立てるのもよくないのかなと。私は普段から言いたいことを言ってますけど、“猫が言ってる”のほうがかわいいじゃないですか(笑)」

上田「淡々と穏やかに伝えるということですね」

小泉「黒猫同盟の曲だったら、子供が聞いても何かを感じてくれるかもしれないし」

上田「後になって“そういう意味だったのか”とわかるのも楽しいよね」

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森朋之

森朋之

森朋之(もり・ともゆき)/音楽ライター。1990年代の終わりからライターとして活動をはじめ、延べ5000組以上のアーティストのインタビューを担当。ロックバンド、シンガーソングライターからアニソンまで、日本のポピュラーミュージック全般が守備範囲。主な寄稿先に、音楽ナタリー、リアルサウンド、オリコンなど。

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