AERA 2024年2月26日号より

「昨年あたりから、築古中古マンション物件がだぶついているという話を聞くようになりました。定点観測をしていると、以前より価格が下がっている物件も出てきています」

 中古が売れないということは、新築の需要に陰りが見えてきたともいえる。

 沖氏がいう「民意」も盛り上がり始めている気配がある。不動産鑑定士の新井隆之氏がため息をつく。

「有名大学を卒業した30代のパワーカップルが、立川のマンションでさえ『8千万円もするから高くて買えない』と言ってあきらめているんです。どう考えても、おかしいですよ」

 一方、供給サイドからも異常ぶりを示す話が飛び込んでくるそうだ。新井氏が続ける。

「都心の大通りに面したビルのオーナーたちが驚き顔で口をそろえるんです。三十余年前のバブルの時も高値で売ってくれという話が絶えなかったが、今回はとうとう提示金額がバブル時を上回ってきているそうです」

 住宅購入を検討している人にとっては、悩ましい状況になりつつあるのかもしれない。(編集部・首藤由之)

AERA 2024年2月26日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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