備蓄で最も大事な「トイレ」
「もちろんすべて大切なのですが、➀地盤②耐震構造③ケガをしない備え④備蓄という順に優先度をつけてみてください。立地とは、つまり、地盤や立地のリスクを調べること。その次は、建物の耐震を確認すること。基準には、旧耐震基準(1981年5月31日以前)、新耐震基準(同年6月1日以降)、現行の耐震基準(2000年6月1日以降)があります。賃貸の場合は、その建物がどの年代に建てられたものなのか確認してください」
ケガをするリスクを低くしておくことも重要だという。
災害時は医療資源も限られ、重篤な患者から治療が優先される。平時では治療すれば治るケガが重症化することもあり、最悪の場合、死に至るという可能性もある。
「家具を人が寝る場所や普段過ごす場所に倒れかからないような配置にして、しっかりと固定すること。現状の配置で家具を固定するのではなく、安全な配置にしてそのうえで固定するのが鉄則です」
そして最後に「備蓄」。横山さんが「真っ先に考えて」と話すのが、実は「トイレ」だ。元日の能登半島地震でも大きな話題になった。
断水してしまえば、排泄物を流すことはできない。そのため、簡易トイレや凝固剤、黒色のゴミ袋などを用意しておくことが重要だ。
「熊本地震の際、私は本震の発災当日に現地に入ったのですが、公園のトイレに排泄物が山盛りになっている光景を目の当たりにしました。みなさん、本当はそこでしたくないけど、ほかにはないからするしかないという状況を見てきました。食べ物、飲み物だけではなく、食べた後のことにも意識を向けてほしいです」
30年以内に70%の確率で発生するといわれている「首都直下地震」。自宅や職場の地盤については、ぜひ調べておきたい。
(AERA dot.編集部・唐澤俊介)