※写真はイメージです。本文とは関係ありません(iStock / Getty Images Plus)

「自分も付き合っているからお前も付き合ってくれ」という言い方は、「お前も毒親である母親を半分引き受けろ」という意味ですね。「父にもこれ以上相談するべきなのか分からなくなり」と書かれていますが、相談しても意味はないと思います。

 澪さん。「毒親」に苦しめられ、感情が不安定になり、フラッシュバックに苦しめられている人に対する僕のアドバイスは、カウンセリングや心療内科をたずねることです。

 自分の気持ちの持ちようだけでは、もうどうしようもない時は、専門家の知恵を借りるのです。ただし、精神科医やカウンセラーにも、いろんな人がいます。患者の話をまったく聞かないで薬をすぐに出そうとする人もいれば、じっくりと話を聞いてくれて、どうしたらいいかアドバイスをくれる人もいます。

 医者やカウンセラーが自分にあわないと思ったら、すぐに変えることをお勧めします。

 同時に、仕事上大変ですが、電話番号やメールアドレスなど、母親が知っていることを完全に変えるのがいいと思います。住所も知っているのなら、大変ですが引っ越します。

 父親には、澪さんの友だちの電話番号とかメールアドレスを連絡先として伝えるのがいいと思います。何かあったら、友だちに連絡してほしいと伝えるのです(父親が信用できそうなら、澪さんの新しい住所や電話番号を伝えていいと思いますが、どうも、「お前も付き合ってくれ」という父親ですからね)。

 澪さん。前述したように「ほがらか人生相談」では、毒親問題を繰り返し取り上げています。

 ネットで探してみてください。足らないようなら、単行本を図書館で借りるか、買ってみてください。

 きっと、役に立つ例もあると思います。

 澪さん。

 澪さんの人生は澪さんのものです。母親にこれ以上振り回されるのは、本当にもったいない。

 あきらめず、粘り強く、毒親から離れていきましょう。

 大丈夫。関係を絶ったり、新しい人生を始められた人はたくさんいます。

 澪さんもきっとうまくいきます。大丈夫です。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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