本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)
本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

 父にはもう関わりたくないし付き合いきれないと言ったのですが、自分も付き合っているからお前も付き合ってくれと言われ、父にもこれ以上相談するべきなのか分からなくなり塞ぎ込むようになりました。

 自分の生活があるからしっかりしないと、仕事に行かなきゃ、と思うのですが、フラッシュバックで涙が止まらず、ずっと母親に苦しめられて生きていくのかと、母親に対する怒りと憎しみ、昔の傷をいつまでも思い出して泣いてしまう私は、前に進めていないのか弱すぎるのか甘えているのだろうかと考えてしまいます。

 幼少期の傷を癒やし前に進む為には、今私はどういう風に自分自身と向き合えばいいのでしょうか。

【鴻上さんの答え】
 澪さん。つらいですね。澪さんは、最近、僕の人生相談を知ったのですね。じつは、「ほがらか人生相談」には、たくさん「毒親」の相談が寄せられて、何度も回答してきたのです。

 最近は、何度も答えたので、しばらくいいかと思っていました。

 ですが、澪さんの相談を読んで、澪さんの努力と切迫した気持ちに触れて、また「毒親問題」について回答しようと思いました。

 澪さん。澪さんは、弱すぎてもいないし、甘えてもいませんよ。

 途中までは、母親に対してとても賢明な対処方法を取ったと思います。

 まず母親をちゃんと「毒親」と名付けられたこと。これができなくて苦しんでいる人はたくさんいるのです。

 周りに相談して、「子供を愛さない親なんかいないから」なんてトンチンカンなことを言われて、余計苦しんでしまう人がいます。

 自分の親をちゃんと「毒親」と認めることからすべては始まります。

 次に「毒親関連」の本をたくさん読んで、母親と「連絡を断ち接触しないように」決めたこと。

 澪さんの判断は素晴らしいと思います。

 身内に不幸がなければ、このまま関係を絶ち続けられたのでしょう。

 問題は、母親が「番号を変えてメッセージを送ってきたこと」ですね。

 その結果、「いつまでも追いかけてくる」「どこにいても見つけられる」と感じてしまったのではないですか。

 また父親が信用できないという問題も深刻ですね。

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