「野球をやっていると目先の勝利、特に高校時代は甲子園出場に目が行きがち。(夢ノートでは)中長期的な目標を明確に持ち、結婚や子供、メジャーリーグでの生活から地元・岩手へ帰還にまで触れている。正直、驚きました」(元日本ハム担当記者)
夢ノートには「人生が夢をつくるんじゃない、夢が人生をつくるんだ」と大きく書き、その周囲に自身の夢を並べた。そして目標達成シートの中央には「ドラフト1位8球団」指名と掲げ、そのために必要な技術、フィジカル、メンタルなどに関する具体的な課題を列挙している。
「目標を明確に持ち、それを文字にすることを大事にしていた。デジタル世代で字を書かなくなったと言われる子供たちが、大谷をマネして手書きの夢ノートや目標達成シートを作るようになった。若い世代の行動様式にまで影響を及ぼしたということでしょう」(アマチュア野球に詳しいスポーツライター)
球児たちが野球ついて目標を立てる時には技術的、体力的な向上について目が行きがちだが、『目標達成シート』には“運”を良くする方法について触れているのも興味深い。「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋掃除」「審判さんへの態度」「本を読む」「道具を大切に使う」など、野球とは関係ないものも含まれるが、いずれも人間として成長していくには必要なこと。大谷が“ロールモデル”として球児の目標とされるのは、保護者などからも歓迎されている。
「親や先生、指導者が言っても馬耳東風だが、大谷の言葉には従ってやるようになる。現代の野球少年たちにとって素晴らしい教育者と言えるかもしれない」(関東地区の少年野球チームコーチ)
大谷にとって夢の実現まで努力を続けることは家族との約束でもあり、当時の目標設定を今でも忘れていないという。
「明確な目標と計画を立てて日々を過ごす。日本ハムの若手時代に周囲に何を言われてもお酒の場所には顔を出さず、寮に残って練習をしていたのは有名。継続は力なりを実際に見せられてきた」(元日本ハム担当記者)