しかし2月6日付の朝日新聞が、盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)系の団体から推薦状を受け取っていたことを報じたとたん、風向きが変わった。
これは、昨年10月に盛山氏が、文科相として旧統一教会に対する命令を東京地裁に申請したことへの“報復”だろう。盛山氏は22年9月に行われた自民党の調査には「関係団体とは認識せず、1度だけ参加してあいさつした」と申告していたが、選挙協力に関しては隠蔽(いんぺい)していた疑いが強まった。野党からは大臣不信任決議案を提出する動きもあるが、任命責任を問われかねない岸田首相は、盛山氏を更迭することはできない。
しかも盛山氏は、岸田首相が会長を務めた宏池会に所属していた。これに「ダブルスタンダードだ」と反発したのは、冷遇された元安倍派の議員たちだ。もし大臣不信任案が提出されれば、賛成票を投じなくても、欠席することで反対票を減らし、可決させることは可能になる。
国民民主の玉木代表も離脱を決定
そして国民民主党も岸田首相を見放した。2月7日にはトリガー条項凍結解除をめぐる自公との協議からの離脱を正式決定した。
ガソリンにかかる揮発油税を一時的に引き下げるトリガー条項凍結解除は、国民民主党にとって2021年の衆院選に公約として取り入れて以降の「目玉政策」となっている。その実現は悲願であり、そのために野党でありながら政府予算案に賛成を投じてきた。2022年の衆院予算委員会では、岸田首相の「あらゆる選択肢を排除しない」という“トリガー条項”について言及のない発言にすらすがりつき、“から喜び”してきた。
2月6日の衆院予算委員会で、国民民主党の玉木雄一郎代表は「事務手続きはクリアできる。必要なのは総理の政治判断」と迫ったが、岸田首相は玉木氏が提示した事務手続きを「新しいご提案」として「検討する」とだけ回答。これまでの国民民主党が説明してきたことを“リセット”してしまった。