古賀茂明氏

 日本の首相は国会議員によって選ばれ、その国会議員は国民が選ぶ。したがって、我々国民は、間接的にではあるが首相を選んでいることになる。

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 しかし、2012年末に自民党が政権に返り咲いて以降、国会では常に自民党が多数を握り、その結果、自民党総裁が事実上自動的に首相の座に就いている。

 その自民党総裁は、自民党の総裁選挙で選ばれるが、総裁選での投票権を持つのは国民ではなく、自民党所属の国会議員と自民党員だけだ。つまり、日本の首相は、わずか数百人の国会議員と112万人(2022年末)の自民党員だけによって選ばれるのだが、そのことはあまり注目されていない。

 最近、「ポスト岸田ランキング」の報道をよく見かける。数字に違いはあるが、概ね石破茂自民党元幹事長がトップで、2位に小泉進次郎元環境相、3位に河野太郎デジタル相、4位に高市早苗経済安全保障担当相が続くというものが多い。

 ただし、その順位は、国民一般を対象にした世論調査の結果によるものだ。

 しかし、首相を決めるのは、一般国民ではなく、一握りの自民党員らであるという事実を前提にすると、本来は、自民党員の間での人気ランキングが重要なはずだ。

 もちろん、世論調査では、支持する政党についても質問しているので、クロス集計によって、自民党支持層に限定したポスト岸田のランキングは出せる。現に、新聞によっては、それを公表しているところもあるが、本体調査のサンプル数が千程度のものが多く、その中の自民党支持層のサンプル数は数百にしかならないので、信頼度が低い。

 しかも、自民党を支持すると回答している人でも、自民党に党費を払って総裁選で投票できる資格を持っている人の割合はかなり低いと考えられるので、実際の総裁選になった時の予想にはとても使えないという限界がある。

 そこで、最初から質問する対象を自民党員に限定して千人の回答を得た調査があるとなれば、自民党の総裁候補は誰でもそれを見たいと切望するだろう。

 実は、ごく最近、永田町である調査の存在が話題になっているという噂を耳にした。いろいろと探ってみると、たしかにあるデータの存在が確認できた。それは、まさに自民党員に限定して行ったという意識調査の結果だ。実施されたのは1月下旬とかなり新しいものだった。すでにある程度の数の人が持っているようなので、おそらくこの話は永田町などで急速に広がっていくだろう。ただし、残念ながら、どのようにして入手したかは明かせない。

 そんな話は眉唾だと思う方は、この先を読むのをやめてもらってももちろん結構だが、試しに見てみようという方は、読んでいただければ、かなり面白い事実を知ることができるはずである。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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