親からのクレームで叱りづらい教育現場。公立小教諭は「本来、親と学校の先生は子どもの幸せを願う同じチームなんですけどね」(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 わが子を叱ってしまう自分に嫌気が差す親も少なくない。つい感情的になって、後悔することもある。子どもにどう伝えればよかったのか。AERA 2024年2月12日号より。

【図表】「叱る」と「怒る」の違いがこちら

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 専門知識を持ち合わせていても、余裕がないと声を荒らげてしまうこともある。静岡県で2歳と5歳の子を育てる保健師の40代女性は、仕事で多くの子育て相談に乗ってきたが、自身の子育てとなると感情にまかせて叱ることがあるという。

「周りからは専門分野だからいいねとよく言われますが、自分の子育てとなるとダメなんです。2人目が生まれてから叱らないで育てる余裕がなくなりました。仕事でいろんな勉強をしてきて、子育てで叱ると何一ついいことはなくて、丁寧に教えていくことが大事だということも分かってはいるんです。でも仕事や家事育児をやっていくと余裕がなくて、つい感情で怒ってしまいます」

 と吐露する。泣きながら子どもに謝ったこともあった。

 わが子を叱ってしまう自分に嫌気が差す親も少なくない。

「1分1秒でも早く叱ることをやめたい」

 こう話すのは8歳の一人息子を育てる都内の女性(38)だ。「ママ嫌い」「こんな家いやだ」と息子に言われ、「そんなにいやなら出ていきなさい」と感情をぶつけたことがある。言い過ぎたことを悔いた。

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