W杯のフィンランド戦の試合後、観客席に向かって叫ぶトム・ホーバス監督。W杯では男子日本代表が見事アジア1位に輝き、48年ぶりの自力での五輪の出場権を獲得した
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 かつて厳しい指導が当たり前だったスポーツの世界でも、昨今ではハラスメントに厳しい目が注がれ、叱るのは難しくなった。そのなかで実績を上げる指導者は、どのように選手たちに向き合っているのか。AERA 2024年2月12日号より。

【図表】Z世代とのコミュニケーション8つのコツがこちら

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 海外からやってきた指導者は、叱ることについてどう考えているだろうか。

 バスケットボール男子日本代表の監督を務めるトム・ホーバス氏は、21年に行われた東京オリンピックで女子日本代表を銀メダルへと導いた。

ポジティブな方へ導く

 女子代表を指導していた時代、ホーバス氏にチームマネージメントについて取材すると「叱ったこと、ありますよ」と流暢(りゅうちょう)な日本語で答えてくれた。

「どうして叱ったかというと、日本の女子選手たちは練習しすぎてた。ちょっと目を離すと、すぐにシュート練習し始めるから、油断も隙もありませんよ。私としては生活にメリハリをつけて、リラックスする時はリラックスし、練習の時に100パーセント集中して取り組んでほしい。だから、プライベートの時間を大切にしてほしかった」

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