AERA 2024年2月12日号

 パワハラとは違う、意味のある厳しい指導。コツはあるのか。管理職研修の講師として「24年間、1万人以上の管理職の『ぼやき』を聞いてきた」というマネジメントコンサルタントの濱田秀彦さん(63)は、「段階的に叱る」を提唱する。

 たとえば新入社員が、固定電話で取引先と話していてトラブルになり、受話器をガン!と置いたとする。1回目はソフトに、「問いかけ」と「依頼」だ。

「まず『どうしたの?』と問いかける。事情を聴いたうえで『そういうわけか。でも次からは静かに置いて。頼むよ』と。叱られ慣れていない若い人には、これくらいでもかなり効きます」

 直らなかったら2回目だ。今度は少し強めにピシリと告げる。

「『いまの置き方、2度目だよ(事実)。気が散るんだよ(影響)。静かに置いて(指示)』。抑制はきかせつつ1回目よりは多少、口調の『圧』は上がります」

 タイミングも大事だ。部下が何かやらかしたとき、違和感を持ちつつも「もう次はやらないだろう」と見過ごしがち。次の機会に叱っても部下は「前は言わなかったのに、今日は機嫌が悪い日だな」となってしまう。

「問題行為は見つけたら最初から叱ることは鉄則です。ソフト、ピシリの2段階でたいていの場合、十分でしょう。3回目の『厳しく』は一昔前には普通だった『何やってんだ!』などの叱り方。これはもう逆効果ですし、現代では封印が良いと思います」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2024年2月12日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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