疲れている時こそ運動を(※写真はイメージです Getty Images)

 寝ても疲れがとれない、すぐにイライラする……。慢性的な疲れに悩まされる人は少なくないだろう。疲れを取るため家でダラダラと過ごしがちだが、小林弘幸医師は「科学的にはむしろ、疲れているときほど体を動かしたほうがいい」と指摘する。現代人の疲れと調子が悪いときの過ごし方について、朝日新書『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』から一部を抜粋、再編集して解説する。

【図】正しいスクワットのやり方

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疲れているときほど動いたほうがいい

「本当は運動したいんだけど、疲れていて動く気になれない」

「疲れているときくらい、ゆっくり休みたい」

 こうした訴えもよく耳にします。

 気持ちはよくわかりますが、科学的にはむしろ、疲れているときほど体を動かしたほうがいいことがわかっています。なぜなら、現代人の疲れは、体の疲れではないことのほうが多いからです。

 現代人の疲れには、2つのタイプがあります。

 1つめは「脳の疲れ」。脳の疲れは、おもに人間関係から生まれます。

 私はよく、ストレスの9割は人間関係だと言っています。まわりに気を遣ってぐったりしたり、一生懸命やっているのに嫌味や小言を言われたり、相手が思うように動いてくれなかったり……。

 こうした精神的ダメージが脳に蓄積することで、慢性的な疲れが生じるのです。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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