民進党の集会に登場したLGBTQ運動の象徴、レインボーフラッグ。他党ではあまりみられない(撮影:安田峰俊)

■民進党
 民進党は 1980〜90年代の民主化のなかで草の根から生まれた政党で、国民党の一強体制を平和的に転換させた歴史を持つ、台湾アイデンティティーが強い政党だ。いっぽうで近年はエリート政党化が進んでおり、LGBTQの権利擁護や女性・障害者の人権擁護など、欧米型のリベラル層の価値観を取り込んでいる。そのため、コアな支持者は前世紀から民進党を応援してきたような地方の本省人(戦前期から台湾にルーツを持つ人々)の中高年と、都市部のリベラル層の組み合わせだ。前者と後者は気質がまったく違う人たちである。

 その姿は集会に行ってもよくわかる。たとえば1月6日に地方都市の桃園市で開かれた公称10万人参加の集会では、会場の人々のメインは50〜60代。いっぽう、市民運動から始まった党だけに会場の脇には大量の仮設トイレが設置され、参加者の利便性を図っていることがわかる。いわゆる「動員」だけではなく、自分の足で来た人も多そうな印象だ。会場でまったく青天白日満地紅旗(中華民国国旗)を見かけないのも印象的である。

 いっぽう、投票前々日の1月11日の台北市内の総統府前で開かれた大集会や、13日に同じく台北市内の民進党本部前で開かれた開票集会は、30〜40代の比率がすこし上がり、LGBTQの連帯を示すレインボーフラッグや、西側諸国の国際感覚を反映したウクライナ国旗やイスラエル国旗も登場している(4年前の選挙では香港反体制デモの旗も多く出た)。いっぽう、候補者の頼清徳の野球好きを反映して、イメージムービーや選挙グッズは野球っぽさを前面に出していた。

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