互いに強い関心を示し合っている日本と台湾。しかし、台湾は日本とは比較にならないほど多様性のある社会だ。ルポライターの安田峰俊が、今年1月13日におこなわれた台湾総統選の各陣営の姿から、台湾社会のいまを分析する。

1月11日、台北市内の総統府前でおこなわれた民進党の選挙集会(撮影:安田峰俊)
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 現在、日本人にとっての台湾は極めて好感度が高い国だ。2023年に台湾の対日窓口機関・台北駐日経済文化代表処がおこなった調査では、台湾に親しみを感じる日本人は76.6%。いっぽう、日本の対台湾窓口機関である日本台湾交流協会が2021年に台湾側でおこなった世論調査でも、台湾人の約6割が日本への好感を示しており、互いに好感を示し合っている。

 いっぽう、台湾は、国民の間で、自国をどういう国家と定義するか(「中華民国」か「中華民国台湾」か「台湾」か)というコンセンサスさえ十分にとれていないという、大変不思議な国でもある。そもそも台湾の社会は、個々の人たちの出自や世代・仕事・思想信条などによって、 日本とは比較にならないほど多様性のある社会だ。

 そんな台湾社会の特徴が可視化されるのが、4年に1度(統一地方選も含めれば2年に1度)の選挙である。特に今年1月13日におこなわれた総統選と立法院選(それぞれ大統領選挙と国会選挙に相当)では、従来の与党・民主進歩党と第一野党の中国国民党に加えて、第三極として台湾民衆党という2019年に誕生した新政党が加わる三つ巴の戦いになった。それぞれの党を支持する層の違いは、選挙前に開かれた集会の様子からも垣間見える。

 ちなみに選挙結果は、総統に当選した民進党の頼清徳が得票率40.05%、二番手の国民党の侯友宜が得票率33.49%、三番手の民衆党の柯文哲が26.46%で、立法院選の比例代表での各表得票率も、ある程度似た数字が出ている。

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