就活生向けのサービスを展開する「iroots(アイルーツ)」事業責任者の田野岡陽介さんは、近年の就活をこう見ている。
「情報化が進んだことで、就活に限らず年々効率化を求めています。就活も『タイパ』、つまりタイムパフォーマンスが重視されるようになりました」
「タイパ」真逆の価値観
アイルーツは、学生の登録したプロフィルを見た採用担当者が個別に連絡を取ることができるサービスだ。説明会に誘うのではなく、「この経歴に興味があるから、一対一で面談しませんか」とスカウトする。選考というよりはフランクに話す場を作って、お互いに自己開示しましょうという方法だ。数多いる就活生の一人ではなく、個人として見てもらえている──そんな思いが、学生の心をつかむという。
ただ、タイパ重視といっても、すべてが楽なわけではない。
「ミスマッチを防ぐため、学生には自分の幼少期から将来像まで自己分析して、細かくプロフィルを書いてもらっています。そこはChatGPTに書いてもらうのとは真逆ですね」(田野岡さん)
どれだけテクノロジーが進化しても、つながっているのは人と人。目の前の学生とどれだけ向き合えるかが、人材獲得の肝になる。(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年2月5日号より抜粋