未来都市開発は、年収やフラットな職場環境をストレートに訴える。説明を聞くだけでハンドクリームや加湿器をプレゼントする会社もあり、就活生の興味を引くべく奮闘している(撮影/編集部・福井しほ)
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 生成AI「ChatGPT」の登場で、就職活動にも変化が起きている。近年の就活はどのようなものなのか。AERA 2024年2月5日号より。

【ChatGPTなど「AIの活用OK」の企業はどれくらい? グラフはこちら】

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 就活の“簡略化”が進んでいる。AIの存在だ。

 単語を入力するだけで立派な文章を弾き出す生成AI「ChatGPT」が公開されたのは、22年秋。日本でも昨年春頃から話題になり、単語を入れるだけでES(エントリーシート)がつくれるサービスも登場した。

 HR総研主席研究員の松岡仁さんは、こう話す。

「下手な文章でもAIが直してしまうので、ESで見極める難易度は上がっています」

 となれば、企業側にとって厄介者……かと思いきや、マイナビの調査によると、44.1%の企業が学生の生成AIの使用について「活用してほしい」と回答している。

 ある大手通信企業では、過去のESを合格・不合格問わずすべてAIに学習させている。AIが不合格と判断したESだけを確認するのだという。

「千通すべてを人事が見るのではなく、不合格の200通だけ念のため目を通す。そうすることで時間も短縮できるんです」

AERA2月5日号「企業が本当にほしい人材」特集から(イラスト/小迎裕美子)

 企業も学生もこぞって取り入れるAI。こうしたツールを活用できる人材の奪い合いも起きている。

 電気設備工事を手がける三和電気土木工事では、これまで機電系学生を中心に採用活動をしてきた。少し前までは自動車業界がライバルだったが、近年はそこにIT系企業も参入している。同社は、IT分野に強い学生との接点を増やそうと、電気設備系の企業13社で合同説明会をするようになった。

 反響は上々。だが、こんな悩みも。

「会社の“見た目”を気にする方も多いんです」

 そう話すのは、採用現場の担当者。22年入社の若手社員だ。

「ホームページが更新されていないと古い会社だと感じて、見た目だけで蹴ってしまう学生もいます。インスタグラムやユーチューブを使ってアピールしないと、会社に気づいてもらえないのかなと感じています」

 目下、ホームページを改修中。ほしい人材を集めるために、最低限やっておかなければならないことでもある。若手の意見を吸い上げながら、同社は模索し続けている。

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