自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、東京地検特捜部は1月19日、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者や安倍派議員らを立件した。これで派閥を舞台とした「政治とカネ」のスキャンダル捜査は一区切りだが、岸田文雄首相が自派閥「宏池会」の解散方針を明らかにしたことで、事件は自民党派閥の「解散ドミノ」へと続いていくことになった。しかし、今回の裏金事件を受け、自民党の支持率は急落しているようだ。時事通信の1月の世論調査では、野党時代を除き1960年の調査開始以来最低の14.6%を記録したという。
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特捜部が19日に政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で立件したのは8人。在宅起訴したのが、安倍派の大野泰正参院議員(岐阜選挙区)とその秘書、安倍派の会計責任者、二階派の元会計責任者の4人。罰金を求める略式起訴としたのが、安倍派の谷川弥一衆院議員(長崎3区)とその秘書、二階派の二階俊博会長の秘書、岸田派の元会計責任者の4人。
林官房長官は「即決で賛成」
一連の事件では安倍派の池田佳隆衆院議員も政治資金規正法違反容疑で逮捕されている。ただし、特捜部の事情聴取を受けていた安倍派幹部は立件されなかった。「大山鳴動して鼠一匹」という世論もあるなかで、タイミングを計ったように動いたのが岸田首相だった。
岸田首相は特捜部の捜査が大詰めとなっていた18日、慌ただしく動いた。午前中、岸田派の座長を務める林芳正官房長官を官邸に呼び出し、こう告げた。
「派閥を解散したい」
岸田派の国会議員によると、林氏はこれに対し、「即決で賛成」したという。
「岸田首相は開口一番、『派閥を解散して国民の信頼回復を』と理解を求めたそうです。林氏は岸田首相の後、首相を狙う立場。反対したのかと思って聞いたら、林氏は『派閥がカネ集め集団と国民から批判されている今、存続はできない。賛成だと即決でお答えした。岸田首相の決意はすごかった』と言っていました」
林氏の同意を得て、岸田首相はその後、上川陽子外相ら派閥幹部も官邸の裏口から呼び込み、派閥解散の意向を伝えたという。
同日午後になると、所属議員にも連絡が入るようになった。一部で「派閥の総会をやって決めるべき」という異論も出たそうだが、岸田首相は、
「今日、自ら発表しなければならない」(前出・岸田派の国会議員)
と決意が固く、同日夕方、岸田首相は自ら「岸田派の解散」を発表した。