「5年後、年2%」説も
現在、日銀は「マイナス金利政策」を取っており、まずはマイナスをゼロまで戻す「マイナス金利解除」が見込まれている。昨年暮れにも幹部の発言などから解除観測が出たが、見送られた。今では春闘の賃上げ状況を見てから「マイナス金利解除」を行い、その後、さらに金利がある世界に戻す「ゼロ金利解除」も断行する可能性が取りざたされている。
もっとも、急激に短期金利が上がるわけではないようだ。住宅ローンの専門家YouTuberでもある公認会計士の千日太郎さんが言う。
「二つの政策を実行したとしても、短期金利は今より0.2%アップのプラス0.1%水準にとどまるでしょう。日銀も様子を見ながらやるでしょうから。住宅ローンで言えば、メガバンクが11月から10年物定期預金の利子を0.002%から0.2%に上げたことが注目されています。預金金利を上げておいて、日銀の政策に合わせて変動型の金利も0.2%アップするサインに見えなくもありません」
短期的にはそうだが、中長期的な見通しとなると話は別、とする見方も多い。住宅ローンアドバイザーの淡河範明さんが、
「昨年、みずほ銀行が今後は住宅ローンに重点を置かないと表明したように、銀行間の競争に疲れ切っている銀行が数多くあります。変動型で競争によって下げた部分、0.5%程度は上がってもおかしくありません」
と、年1%近くに上がる可能性に言及すれば、先の千日さんは、こう指摘する。
「日米の金利差比較から考えると、私は現状からプラス1.6%ぐらいの『上がり代』があるのではないかと考えています。5年後ぐらいになりますが、変動型は2%近くにまで上昇する可能性があります」
(編集部・首藤由之)
※AERA 2024年1月22日号より抜粋