倫子と、西野七瀬演じる倫子の付き人「お品」(提供/フジテレビ)

――令和という現代で、あえて過去の時代を描くことの面白さはどこにありますか?

NHK連続テレビ小説の)「ブギウギ」なんかもそうですけど、人間の原点みたいなものを描けるのは、面白いなと思います。

 たとえば、約束していた場所で会えないっていう展開が成立する。今はスマホがあるから、「いや会えるだろ!」ってなるじゃないですか。でも僕みたいな昭和のおっさんだと、好きな子と待ち合わせしたのに相手が来ないなんてことはよくあったし、こまめに連絡が取れないからこそ、相手と会える短い時間で自分を売りこんだり、お互いの気持ちを確認したり、ということをしていたわけです。

 今はマッチングアプリとかもあって便利なんですけど、どこか情緒がないというか。非合理のかたまりみたいな時代のなかでこそ、人間の真価というか、リアルな感情が浮き彫りになる面はあるかもしれないです。

激シブかと思った「鎌倉殿」が…

――昨年は、よしながふみさんの人気漫画「大奥」をNHKがドラマ化、Netflixがアニメ化し、大きな話題を呼びました。今、大奥の世界に注目が集まる理由は何だと思いますか?

 はっきりとした理由は分かりませんが、少なくとも、歴史ものに対するハードルはどんどん下がっていると思います。

 たとえば大河ドラマは、三谷幸喜さんが素晴らしい脚本を書いた「真田丸」や「鎌倉殿の13人」あたりから、歴史ものでも見やすくなってきている。鎌倉殿なんて、僕としては最初、「北条が主人公? ウソだろ、激シブじゃないか!」って思っていましたけど、そんな先入観を全部ひっくり返すくらい面白かったです。

 当時の人間関係にも、政治的な駆け引きとかマウンティングとか排除があって、今と変わらないなって。視聴者のみなさんも、歴史ものに対して目が慣れて違和感がなくなってきたところに、よしながふみさん原作の「大奥」作品が次々に出たことで、さらに敬遠されなくなったのかなと思います。

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