ただ、他球団にも意地がある。シーズンオフに積極的な補強に動いたのが中日だった。巨人を退団した中田翔、中島宏之、ソフトバンクの戦力構想から外れた上林誠知、メジャー通算40本塁打のアレックス・ディカーソンを獲得した。昨年は球団史上初の2年連続最下位に低迷し、リーグワーストの390得点。昨年に限らず得点力不足は長年の課題だ。スポーツ紙デスクは中日の戦いぶりについて、こう振り返る。
「打線が得点を取れないので、投手陣に重圧がかかる。本拠地が広いバンテリンドームなのでなかなか本塁打は出ないですが、得点を取る手段は長打だけではない。中田を獲得したから得点力が解決できるという単純な問題ではないと思います。阪神のように四球を重視する戦術を徹底するだけでも相手バッテリーにかかる負担が違ってくる。戦略から見直す必要があると思います」
常勝軍団の地位
優勝争いに食い込めないシーズンが続くと、チームに活気が失われていく。今の中日はまさにその状態だろう。お手本となる球団がオリックスだ。19、20年と2年連続最下位に低迷したが、21年以降はリーグ3連覇。昨季は2位・ロッテに15.5ゲームと大差をつける圧倒的な強さで常勝軍団の地位を築いている。オリックスを取材するスポーツ紙記者は、チームが変貌した理由についてこう分析する。
「21年は山本由伸が球団新記録の15連勝で18勝を挙げ、高卒2年目の宮城大弥が13勝とブレークしたことが大きかった。前年の監督代行から就任した中嶋聡監督の慧眼も光りました。ファームでくすぶっていた杉本裕太郎が1軍に引き上げられ、32本塁打でタイトルを獲得。吉田正尚と共に打線の軸になり、三塁に固定した宗佑磨も攻守で貢献度が高かった。中日も高橋宏斗、梅津晃大、細川成也、石川昂弥と大きな可能性を秘めた選手たちがいる。彼らが覚醒すればチームはガラッと変わる可能性を秘めています」