テレビ、イベント、CM出演、営業、本の出版とひっきりなしに仕事が入った

自分を見つめ直した

――2009年に松本キックさんとコンビが復活し、芸能活動を再開します。

 自宅療養している時に芸人に戻りたいという思いが出てきたので、アルバイトなどのステップを踏んでコンビを再結成しましたが、実は復帰後に辞めようと考えたことがありました。芸人としてやれることがほぼない現実を突きつけられて。ネタを覚えられないし、振りと落ちなど基本的なこともできない。いろいろな現場に行くんですけど、不完全な状態だから結果を出せない。そういう状況が積もり積もって、キックさんとの関係もうまくいかなくなった。ただ、5年前ですかね。体調を崩して入院した時、自分を見つめ直したんです。「ちゃんとしたハウス加賀谷ってなんだ?」って。ちゃんとできないことでお客さんに喜んでもらえたのに、ちゃんとした加賀谷を演じようと思うことがおかしいんじゃないかと。そう考えると気持ちが楽になった。「好きなようにやればいいんだ」って。ダメな自分をさらけ出して、キックさんに助けてもらいながら笑いに変えられるようになりました。そこから体調もよくなりましたね。

テレビに出ずっぱりだった時期よりも、今のほうが幸せだという

――加賀谷さんの表情が穏やかに見えます。

 今が一番楽しいです。だって、今を生きているから。09年に復帰して何年かうまくいかなかった時は過去を振り返って生きていたからつらかった。テレビに出ずっぱりだった時期よりも、今のほうが幸せですよ。商業的に成功していないので芸人としては不正解かもしれないですけどね。体や心が不調になったら大変なんです。健康は奇跡みたいな状態です。世の中には多くの方たちがままならないことを抱えて生きている。僕は頭がある程度働いて、体調もそこそこいい。これは当たり前じゃないですから。

(平尾類)

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