今から30年前の1990年代。強烈な個性で大ブレークしたお笑いコンビがいた。「松本ハウス」だ。ボケ担当のハウス加賀谷(49)は、丸刈り頭にピチピチの白いシャツと紫のパンツという奇抜な格好で、独特のポーズを決めながら「か・が・や・でーっす!!」と叫び体を張る。勢いがあるだけでなく、頭の回転が速い。絶妙な間で冷静な発言をして爆笑をかっさらうことも。バラエティー番組「電波少年」「ボキャブラ天国」に出演したのをきっかけにメディアに引っ張りだこになったが、人気絶頂の99年に表舞台から突如姿を消す。加賀谷の「統合失調症」の症状が悪化し、コンビでの活動を休止したからだ。精神科病院の閉鎖病棟で入院生活を送り、自宅療養を経て、2009年に相方の松本キック(54)と活動を再開。現在もアルバイト活動の傍らで芸人活動を続けている。活動休止までの経緯、復帰してから芸人引退を考えていた時期があったことなどをインタビューで明かしてくれた。
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【後編はこちら→お笑い芸人・ハウス加賀谷 中学時代に幻聴、幻覚を発症 「かがちん臭いよ」と声が聞こえて…】
1日10件ほどを4時間ぐらい
――現在はどのような生活を送っているのでしょうか。
ウーバーイーツのアルバイトを週に5日ぐらい入れています。以前は自転車で都内を配達していたのですが、暑さや寒さがしんどかった。「バイクがいいですよ」と友人に言われ、今年の8月に免許を取りました。精神疾患を持っていておっちょこちょいだからバイクは危ないと思っていたけど、トライしようと。1日10件ほどを4時間ぐらいで回ります。10件にしているのは1000円のインセンティブがつく時があるから。メンタルに凄くいい仕事だと思います。届け先のお客さんに「ありがとうございます」って言ってもらえますしね。その一言が心にしみるんです。