パインアメをほおばる岡田監督

 パイン社が販売するパインアメは終戦間もない1951年に誕生した。戦後、パインの缶詰はなかなか口にできない高級品で、「パイン缶のおいしさを手軽に味わってもらいたい」との思いで作られた。現在ではトレードマークになっている穴は当初はなく、輪切りの型を押しただけのものだった。

優勝のビールかけでかぶり物まで登場

「今はパイナップルの果汁が入っていますが、昔はそんな高価なものも使えないので、リンゴやミカンやレモンの味をかけあわせてパインの味を再現していました」(井守さん)

 パインアメが長く愛されているのは、砂糖、水あめ、パイン果汁、そして黄色の色素も自然由来のものを使うなど、原料を吟味しているからだという。「安心して子どもに食べさせることができる」と、母親たちからの支持も多いと井守さんは胸を張って答えた。

パイン社の井守さんが阪神タイガースに贈ったパインアメなどの詰め合わせセット=パイン社提供.

 さて、岡田監督との関係であるが、パイン社は阪神タイガースや岡田監督とは直接コンタクトを取っていない。「ただ遠くから応援できればいいんです」と井守さんは控えめだ。

 リーグ優勝が決まる際、今年のタイガースのスローガンである「ARE(アレ)」とパインアメをかけた「パインアレ」を作り、岡田監督にプレゼントしようという案がテレビ番組の企画として持ち上がった。日々の注文に追われるなか、オリジナルのパインアレの製作に取り掛かった。

「なんとか『岡田監督専用』と書いたパインアレ10袋と、番組で視聴者プレゼント用に100袋を急いで作りました。今のところ市販の予定はありません。とにかく、通常のパインアメをお届けすることを第一に考えています」と話した。

 リーグ優勝時のビールかけで、原口文仁選手からパインアメのかぶり物をつけたいというリクエストがあり、それを井守さんは手作りして事務所に送ったそうだ。ファンだけでなく、選手にもパインアメはすっかり定着していたのだ。

「パインアメが阪神タイガースの応援グッズとして定着するといいですね。何しろ同じ黄色で穴が開いて見通しもいい。当社もがんばって生産しますので、阪神タイガースももっと強く勝ち続けてほしいですね」

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「パインアレ」を出す時とは