政策活動費――。それは政治の世界で還流する資金であり、ある種のブラックボックスでもある。

 政党から政治家個人への寄付になり、収支報告の義務を負わないため、政治資金収支報告書に記載する必要がない。11月22日の衆院予算委員会で、有志の会の緒方林太郎議員はこの問題を取り上げ、「派閥のパーティー券の裏金よりも、もっともっとすそ野も広いし、額もでかい」と述べている。

20年間で456億円!

 朝日新聞の調査によれば、2021年までの20年間で主要政党が支出した政策活動費は456億円にものぼる。実際に22年の各政党の収支報告書を調べると、自民党は14億1630万円、立憲民主党は1億2千万円、国民民主党は6800万円、日本維新の会(国会議員団)は5057万5889円を「政策活動費」として党幹部(個人)に支出している。また衆院選が行われた21年の自民党の政策活動費は、17億2870万円にものぼるのだ。

 こうした政策活動費とは、これを受けた政治家にとって、収入なのかどうなのか。

「政治家個人が政党から政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上、雑所得となる。政治資金にかかる雑所得の金額は、1年間の総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算する。政治活動のために支出した費用を差し引いた残額が課税の対象となる。残額がない場合には、課税はない」

 緒方氏の質問に対して星屋和彦国税庁次長は、こう説明した。なるほど所得税法第37条で必要経費の控除は認められているものの、その範囲は「当該事業の業務と直接関係を持ち、かつ業務の遂行上必要なもの」と解されている。これを政策活動費に当てはめれば、必要経費は「政治に直接関係を持ち、その遂行に必要なもの」に限ることになり、政治資金の透明化の要請に鑑みれば、その使途について厳格性が求められるとともに、公にしなければならなくなる。

衆院予算委で質問する衆院会派「有志の会」の緒方林太郎氏=2023年12月8日
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要件が備われば、政党は所得税を払わなくてよい