しかし実際には(日本維新の会以外は)「つかみ金」となっており、その内容については前述したとおり政治資金収支報告書に記載されることはない。12月8日の衆院予算委員会でも、岸田首相は「自民党における政策活動費は、政策立案とか調査研究、党勢拡大を行うために党役職者の職責に応じて支出している。政治資金収支報告書で公開すべき事柄は政治資金規正法で定められているが、政治家個人については政治団体とは異なり、収支報告の対象にはなっていない。しかし税務当局から求められた場合には、きちんと説明すべきだ」と答弁した。

 とはいえ、いくらなんでも政策活動費を全て使い切ることはないだろう。もし政策活動費の全てを必要経費として使い尽くさなければ政治活動ができないならば、14億円以上を必要経費とする自民党と連立を組む公明党が「政策活動費ゼロ」というのはありえない。

政治資金の説明しないのは裏切り行為

 11月22日の衆院予算委員会で緒方氏はこう述べている。

「政治団体は法人税を払っていない。そして政党も、一定の要件が備われば、所得税を払わなくてよい。だからこそ、我々は高い説明責任が求められるのではないか」

 国会議員が選出されるのは、有権者の信頼に基づく委任にほかならない。にもかかわらず、政治資金について十分な説明をしないのは、裏切り行為そのものだ。そのような為政者に民主主義的正統性があるといえるのか。

(政治ジャーナリスト・安積明子)

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