シニアだって、筋肉をつけるには、たんぱく質が欠かせません ※写真はイメージです (c)GettyImages
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 人生100年時代、自立した生活を長く送るためには、要介護状態になるのを避ける、できるだけ遅らせることが重要です。そのカギのひとつは、立ち上がるときや転倒の防止に必要な「筋力」にあります。本連載では、年齢を重ねた親と子が一緒に考え、取り組んでいきたい「シニアの筋トレ」についてお届けしてきました。最終回の7回目は、高齢者のみなさんがしっかりと筋肉を増やしていくために大切な食事法について考えます。ただトレーニングをするだけでは栄養不足になりやすいので注意が必要です。具体的に必要なたんぱく質の量やとり方のヒントも紹介していきます。

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 健康長寿をかなえるためには「栄養」「運動」「社会参加」の3本柱が重要なポイントだといわれます。今回は、その中の「栄養」面にスポットを当てて、毎日の食事を通じた体づくりについて考えてみましょう。

「最近、食が細くなった」と感じている人もいるかもしれません。年齢を重ねると食欲が低下しがちになり、食事の摂取量が少なくなる傾向がみられます。また、食べ物を消化・吸収する力や、体に必要な筋肉や骨を作る力も低下してくるため、しっかり食べているつもりでも、実際は栄養不足であるケースも見られ、高齢者の新たな栄養失調が問題になっています。

 低栄養状態が続くと徐々に筋肉が失われ、筋力が低下する「サルコペニア」になり、身体機能の低下、さらには活動量も低下していくといった悪循環を生じます。この「負のスパイラル」が、要介護状態の前段階である「フレイル」の進行を加速させてしまうのです。

シニアに必要なたんぱく質の量とは

 筋肉を鍛える運動をおこなうときは、しっかりとたんぱく質をとることが必要です。では実際に、たんぱく質の必要量はどのくらいなのでしょうか。フレイル研究の第一人者、東京大学高齢社会総合研究機構・機構長および同大未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢先生は、次のように話します。

「たんぱく質は私たちの体をつくる材料となる重要な栄養素です。たんぱく質は脂肪とは違い、体内にためておくことはできません。食べためができないので、毎日朝昼晩3回の食事のうち2回以上は肉や魚を取り入れ、合計して1日の必要量以上を食べるよう心がけましょう。具体的には一般的な活動量の人なら、最低でも体重1キロあたり1キロのたんぱく質をとることが、筋肉の「維持」に必要だといわれています。サルコペニアの傾向にある人、筋肉を増やしたい人、トレーニングをしている人なら、さらに多い1.2~1.5グラム/キロが必要です」

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肉や魚のたんぱく質含有量は、思ったより少ない