肉や魚はたんぱく質が豊富な食材の代表例ですが、実はそのなかに含まれるたんぱく質の量は意外と多くはないそうです。

「例えば、赤身の牛ステーキを200グラム食べても、その中に含まれるたんぱく質の量は35~39グラムであり、食材の重さの約2割。豚肉・鶏肉や魚も同様で、多く見積もって約2割です。十分食べているつもりでも、実際の必要量には足りていないことが多いというギャップに気づくことが、まずは大切です」(飯島先生)

 つまり、体重50キロの人が筋肉をつけたいなら、1日60~75グラムのタンパク質を取る必要があり、そのためには1日300~375グラムの肉や魚を食べる必要があるということです。「思ったより多い」と感じた人も多いのではないでしょうか。日頃の食生活でどれくらい肉や魚を食べているか、実際に量って見直してみるのもおすすめです。ただ一方で、腎臓の機能が低下している人では、治療上、たんぱく質の摂取量が制限される場合があります。必ず主治医に相談したうえで、運動・栄養指導を受けてください。

シニアが取り入れやすいたんぱく質の食べ方

 大手スポーツクラブのライザップでは、高齢者の筋トレをサポートしていますが、食事指導にも力を入れています。そこで、具体的にどのようなアドバイスをしているのか、シニアプログラムの開発に携わった同社の川本裕和さんに聞いてみました。

「シニア会員には、卵、肉、魚、乳製品、豆腐などのなかから、ご自身が好んで食べられる食材を選んで、さらに動物性たんぱく質と植物性たんぱく質のどちらかだけに偏らないよう、バランスよくとることを勧めています。胃もたれなどを感じている場合は、消化がよく軟らかい食材や動物性脂質の少ない食材を選びます。軟らかい半熟卵や豆腐が比較的にとりやすい食材です。1食のボリュームが少ない場合には、食事の回数を増やして、1日トータルで必要摂取量を目指すようアドバイスします」

 肉が硬くて食べづらい場合には、肉と一緒にキウイやパイナップルを食べたり、炭酸水や酢などに漬け込んだり煮込んだりすることで、肉の繊維が壊れて軟らかく、食べやすくなるそうです。また、酸味のあるレモンや酢などの調味料をかけて食べると、唾液の分泌量がアップして消化もよくなるので、試してみてはいかがでしょう。

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「硬い肉がかめない」は「オーラルフレイル」