崑さんは、たまに腰が痛くなることがありました。基本的に、体に痛みが出ている場合、正しい姿勢で動けば痛みが出ないようならばそのままトレーニングをおこなえます。しかし正しい姿勢でも痛みがある場合は、痛みが消えるまでその部位のトレーニングはおこないません。
崑さんはトレーニング中、いつもしっかりとサポートしてくれるトレーナーがいてくれることで、安心感をもってプログラムをこなせたそうです。週1回のパーソナルトレーニングでは、事前の健康チェックと準備運動をおこなった後、筋力トレーニングを無理なくできる範囲からスタートします。その後は、動きを確認しながら、徐々に負荷を増やしていきつつボディーメイクをおこなうのが基本になります。
シニアの場合、特に力を入れたいのが、歩行に欠かせない「下半身」を鍛えるのに最適の運動である「スクワット」です。腰を沈める際に、お尻を後ろに突き出し、太ももと床が平行になるくらいまで深く沈めるのがポイントです。筋トレを始めた当初、崑さんは足やお尻の筋力が弱っていたため、体が後ろにひっくり返りそうになり、バランスボールの助けを借りながら続けていきました。スクワット加えて、インナーマッスルや腹横筋、自重トレーニング、正しい姿勢づくりに欠かせない背中の筋肉やたくましい胸の筋肉を鍛えるためのバーベル、ダンベルやマシンを使った筋トレなどもおこなっていきました。
40キロのバーベルを背負ってスクワットができるように
最初は思うように体を動かすことはできませんでしたが、前回できたことよりも毎回少しずつ負荷を大きくしてトレーニングを続けていくという作戦で、回数は15回まで増え、さらには15回を3セット繰り返すことができるようになりました。その次は10キロのバーベルを背負ってのスクワットへ。次には20キロ。2年目には30キロ、そして3年半がたって40キロまで到達しました。
体づくりには、トレーニングのみならず、毎日の食事もとても重要とのこと。岩越さんはトレーニングのない日も毎日、食事のアドバイスをおこなっています。
「始めのころの崑さんの食事は、夜の食事量が多く、野菜が少なかったため、全体的に糖質を控えて野菜の量を増やすこと、夜はなるべくカロリーが低くたんぱく質を多くとれるメニューにするようアドバイスしました。また、1日2食だったので、食間と寝る前にプロテインをとってもらうようにしました」
食事の際は満腹感が得られるよう、必ずよくかむことも大切です。一口ごとに、食べ物の固形物感がなくなるまで20回以上かむことを習慣にするよう、具体的な食べ方指導もされています。たんぱく質の豊富な食事をとり、トレーニングをすることで、効果的に体脂肪を落とし、筋肉を増やしていくことができます。