大村崑さん。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』インタビューにて。当時89歳。(撮影/MIKIKO)
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 人生100年時代、自立した生活を長く送るためには、要介護状態になるのを避ける、できるだけ遅らせることが重要です。そのカギのひとつは、立ち上がるときや転倒の防止に必要な「筋力」にあります。本連載では、年齢を重ねた親と子が一緒に考え、取り組んでいきたい「シニアの筋トレ」についてお届けしていきます。6回目は、86歳で筋トレにはまり、健康でハッピーな生活を手に入れた喜劇俳優・大村崑さん(92歳)の体験例をトレーナーさんに聞いてみました。

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 喜劇俳優の大村崑さんは、明るいキャラクターとは裏腹に、実は小さいころから虚弱体質でした。19歳のころには結核を患い、片方の肺を切除。58歳で大腸がんを経験しています。満身創痍(そうい)の体は年齢を重ねるにつれ、かなり衰えを感じるようになっていたといいます。

 そんな崑さんが86歳のとき、妻・瑤子さんに「一緒にライザップに行こう」と誘われました。そこで「筋トレ」と出合ったことをきっかけに、生活が一変することになったのです。

シニアの筋トレはケガをしないことが第一

 崑さんは芸能人としての仕事ではなく、一般の会員としてライザップに入会しました。筋トレなんて、人生初めての挑戦。「とりあえずやってみようか」という軽い気持ちで、まずはポッコリと出ていたおなかを引っ込ませることを目標に、週2回、1回1時間のマンツーマントレーニングを始めました。入会した当時の様子について、崑さんを担当するライザップのパーソナルトレーナー、岩越亘祐さんは、「年相応に背中の丸い、足を引きずって歩く感じの“おじいちゃん”でした」と話します。

 高齢者が若い人たちと違うところは、「動きがゆっくりであること」「動作中の転倒リスクが高いこと」「疾患を抱えている人が多いこと」です。岩越さんはつねにこれらの点に気をつけながら、「ケガをしないこと」を一番としてシニアプログラムの指導に当たっているそうです。片方の肺がない崑さんの場合、呼吸が苦しいと感じてしまえばトレーニングが続けられないため、特にトレーニング中の呼吸に気を配ったといいます。「息を吐くときにはおなかに力を入れるように」という指導もおこないましたが、それは深い呼吸をするのと同時におなか回りの筋肉を鍛えるトレーニングでもありました。

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崑さんが実際にやっていたトレーニングとは?