「相棒」ノベライズ版のカバーイラスト。さまざまなイラストレーターが、各々の「杉下右京と相棒」を描いている
「相棒」ノベライズ版のカバーイラスト。さまざまなイラストレーターが、各々の「杉下右京と相棒」を描いている
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 2023年12月、朝日文庫『相棒season21』ノベライズ最新刊が刊行された。例年、ドラマ「相棒」新シリーズの放送にあわせて、その前シーズンを文庫化している。10月から1冊ずつ刊行され、このたびシリーズ3冊が出揃った。

 文字だけの世界で「相棒」を表現する――映像とはまたひと味違ったドラマ体験が味わえるのもノベライズならではの魅力。さらに、毎シーズン、異なる人気イラストレーターが装画を手がけるのも見どころのひとつだ。

 今回は、亀山薫が14年ぶりに「相棒」として帰還した記念すべきシリーズでもある。装画を担当した松島由林(ゆき)さんにお話を聞いた。

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 2023年10月から始まったドラマ「相棒season22」(テレビ朝日系列、水曜21時~放送)。2000年6月、土曜ワイド劇場の2時間枠で放送されたスペシャルドラマ(プレシーズン)からスタートしたこのシリーズ。国民的ドラマとして長らく愛され、2022年には放送400回を数えた。

 水谷豊演じる杉下右京は、警視庁特命係の警部という設定。捜査権のない特命係にいながら名推理で数々の事件の謎を解き明かすが、切れ者過ぎるゆえに上層部からは睨まれてもいる。

 特命係で、右京とタッグを組んできたのが歴代の「相棒」たち。寺脇康文演じる初代相棒の亀山薫。二代目は及川光博演じる神戸尊(かんべ・たける)。成宮寛貴演じる三代目の甲斐享(かい・とおる)。四代目は反町隆史演じる冠城亘(かぶらぎ・わたる)。そして昨シーズンの「相棒21」では、再び亀山薫が右京の相棒として14年振りに特命係に復帰し、話題を集めた。

 そんなドラマ「相棒」の世界は小説でも楽しむことができる。ノベライズ版を手掛けるのは、実力派ミステリ作家の碇卯人だ。

 だが、注目したいのは物語だけではない。「装画」もまたノベライズの大きな魅力のひとつ。それらは、イラスト界のレジェンドたちが手掛けてきた。

 初回のプレシーズン巻を藤田新策、『相棒season1』を井筒啓之、『相棒season2』上巻を宇野亜喜良……錚々たるレジェンドたちが「相棒」のふたりを描いている。大御所ばかりではなく、気鋭の若手イラストレーターも多く起用されている。

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全シーズン見直してイラストに着手