全シーズン見直してイラストに着手しました
昨秋10月から3カ月連続刊行したノベライズ『相棒season21』。亀山薫が「相棒」として戻ってきた記念すべきシーズンを描いたのは松島由林さん。ミステリ小説の装画も多く手がけるイラストレーターだ。
上巻では、特命係の小部屋で、復帰した薫と握手する右京が。再会を果たし、ふたたびタッグを組むことになったふたりの表情が生き生きと描かれている。
中・下巻で描いたのは特命係の日常のひとコマ。独特の所作で紅茶を淹れる右京を眺めつつ、コーヒーを注ぐ薫を中巻で、壁に貼った資料を検証するふたりを下巻で描いている。
以前より「相棒」シリーズの大ファンだという松島さん。杉下右京と、カムバックした亀山薫の「相棒」を描けることは感無量だったと話す。装画を描くにあたり、TELASA(テラサ)で、プレシーズンから全話視聴し直したという。
「ドラマの中のワンシーンではなく、『相棒』の日常を描いてほしいというオーダーでしたから、何を描くかとても迷いました。上巻だけはどうしても亀山復帰のふたりが握手しているシーンにしたかったので、ここはドラマのシーンになってしまいました。
シーズン7で亀山が卒業するときも、特命係のあの名札の前で、ふたりが握手して終わっていたんですね。だから、同じ握手のシーンで新たなシーズンが始まるようにしたかったという思いがありました。
意外に苦労したのは背景です。特命係の小部屋の家具の配置などもシーズンを経て変わっていたり、見たいアングルの資料が見つからなかったりで、ドラマを一時停止して観察する作業を繰り返しました」
特に気に入っているのは、カバー裏面の帯に隠れるように小さく描かれた、サブキャラクターの面々とのこと。
上巻には薫と犬猿の仲である捜査一課の伊丹憲一(川原和久)が、警視庁長官官房付の甲斐峯秋(石坂浩二)に土下座するシーンが描かれる。中巻には相棒ファンにとってはおなじみのセリフ「暇か?」を発する、組織犯罪対策部課長の角田六郎(山西惇)。下巻には警察学校教官の米沢守(六角精児)の姿も。