だが、今季はシーズン中にケガで苦しんだことを含めてMLBで通じるかは未知数。これまでも韓国のスター野手が多くメジャーに挑戦したが、やはり世界最高峰のリーグだけに苦戦は目立つ。契約の額に見合った成績を残せるかは非常に興味深くもある。
イ・ジョンフと同じくMLBでのプレーは未経験なものの、大型契約でドジャースと契約合意したのがポスティングでのメジャー移籍を目指していた山本由伸(オリックス)だ。報道では12年総額3億2500万ドル(約463億円)と伝えられているが「こちらの高評価は当然で驚かない」と関係者は口を揃える。
「山本に対する評価は(イ・ジョンフとは)事情が異なる。過去を見てもNPBで活躍した投手はMLBでも結果を出している。即戦力として期待され条件が良くなるのは当然」(スポーツマネージメント会社関係者)
プロ入り直後から一気に球界屈指の投手となった25歳の右腕は今年も圧倒的だった。23試合に登板し、16勝6敗、防御率1.21。勝利数、防御率、勝率(.727)、奪三振数(169)のいずれもリーグトップをマークし、3年連続となる投手4冠を達成。また、伝説的な左腕・金田正一氏に並ぶ3年連続となる沢村賞に選出されるなど、球史に残る圧倒的なピッチングを続けていた。
「千賀滉大(メッツ)の活躍が日本人投手の好印象をさらに高めたのも大きい。故障なくローテーションを守れて結果を出せることを証明した。NPBトップと言われる山本に対する期待は高くなり欲しい球団が多くなるのは当然だった」(MLBアジア地区担当スカウト)
今季からMLBでプレーする千賀は12勝と白星はそこまで伸びなかったが、166回1/3を投げて202奪三振、ナ・リーグ2位となる防御率2.96と1年目から際立った結果を残した。日本では千賀以上の成績をマークした山本の条件が天井知らずになるのも納得で、大型契約も妥当だという声は少なくない。
これまでも、ダルビッシュ、前田健太(タイガース)、野茂英雄(元ドジャースほか)、岩隈久志(元マリナーズ)、田中将大(元ヤンキース)、黒田博樹(元ヤンキースほか)など数々の日本人の先発投手が活躍したことも山本の年俸を押し上げた要因でもあるだろう。