MLBの年俸高騰がさらに勢いを増している。大谷翔平がドジャースと結んだ10年総額7億ドル(約994億円)という北米プロスポーツ史上最高額の契約が話題となっているが、そのほかにも以前なら考えられない契約が続出している。
【写真】イチローだけじゃない!MLBの年金額「満額支給」の日本人選手がこちら(ほか3人)
その代表格が韓国球界の“至宝”イ・ジョンフ(キウムからポスティング)。MLBでのプレー経験がないにも関わらず、ジャイアンツと6年総額1億1300万ドル(約160億円)という大型の契約を結んだ。
「韓国プロ野球(KBO)からMLBに移籍した選手の歴代最高額。昨年レッドソックス入りした吉田正尚の金額を超えたことも大きな話題になっている」(韓国野球に詳しいスポーツライター)
吉田が昨シーズンのオフにレッドソックスと結んだ5年総額9000万ドル(約128億円)を超えたことが韓国国民の自尊心をも刺激したようだ。またキウム球団が今後受け取ると見られる約1882万ドル(約27億円)は、昨年の同球団の選手活動費に匹敵する金額と言われる。
「吉田と同じ代理人のスコット・ボラス氏が手腕を発揮した。外野手の2人を比較することで条件を高めた形。MLB側の評価はあまり高くないと言われていた中で(ジャイアンツと結んだ契約額は)スゴイの一言」(在米スポーツライター)
「守備能力もあるしパワーもある。Kポップをメジャーにもたらすと思う」とイ・ジョンフの移籍について語ったボラス氏の敏腕ぶりが光った契約とも言えそうだ。
しかし、年俸に見合った活躍ができるかについては懐疑的な声が多いのも事実だ。
「過大評価にも思える。良い選手だがNPBとKBOのレベル差を考えても吉田と同クラスとは考えにくい。外野の全ポジションができて25歳という年齢が評価につながったのでしょうが……」(MLBアジア地区担当スカウト)
2017年にKBO新人王、2021年からは2年連続で首位打者を獲得した「韓国のイチロー」は国内では唯一無二の存在となった。今年の3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではダルビッシュ有(パドレス)から安打を放ち、韓国代表の中でも別格なプレイヤーだと感じた日本人の野球ファンも多いはずだ。