「市役所で副市長に面談を求めました。『私が市長選に勝ったとします。その時、副市長をやってくれます?』と聞いたら、『いや、まわりが……』とにごすばかり。この人は自分の意思ではなく、周囲に言われて仕方なく市長選に出馬するんだろうなと想像しました。ひょっとしたら、河井氏からカネをもらった市長が『みそぎが済んだ』と4年後にまた復活するんじゃないかとも考えました。だから自分が絶対に市長になる、と決意しました」
政治経験はゼロだった石丸市長は、選挙で「政治再建」を公約に掲げた。
「安芸高田市に必要なのは、まず政治を再建し、クリーンな状態で市を運営していく。それが河井氏の事件でボロボロになった市民には一番響く言葉でした」
と石丸市長は振り返る。
就任後すぐに「市長vs.議会」の構図に
2020年8月、相手候補の副市長に約2700票差をつけて圧勝した。安芸高田市民は、37歳が掲げる「政治再建」を支持したのだ。
石丸市長はさっそく動いた。市議会で居眠りしていた市議についてツイッター(現X)で指摘した。すると、ベテラン議員が「居眠りは国会でも県議会でもする」などと居眠りを容認するような発言をして大炎上した。
石丸市長のXによると、その後、議会側から「居眠り事件」について話があるとして、非公開での全員協議会に呼ばれた。そこで数人の議員から「議会批判をするな」「選挙前に騒ぐな」「敵に回すなら政策に反対する」といった「説得?」「恫喝?」があったという。議会側はそれに対し、「威圧的な言い方はしていない」「優しい言葉を使っていた」と反論。市長就任間もなくで「市長vs.議会」の構図ができあがった。
市長はその後も強気で突き進む。
議会での一般質問のあり方について、質問を事前に議員から受け、答弁を調整し、それを読み上げるようなやり方については意味がないとして、「対話意思のある議員の質問にのみ答弁する」などと発言すると、これにも議会は当然大反発した。