議会とぶつかることになった石丸市長の改革案の多くは、議会で否決されていく。
たとえば、市長肝いりの政策で新たに副市長を全国公募し30代の女性を選んだが、この人事案を否決。次の議会でも再度同様の人事案を出したがまた否決。「財政難のなか、副市長の月額70万円の給料が高すぎる」というのが議会の声だった。
そこで市長は、「財政健全化」のために、議員定数を16から8に減らす削減案を提出した。しかし、これについても「市民の声が届きにくくなる」「議会軽視」といった反対意見があり、否決となった。
今年に入ってからは、市内の「道の駅」に生活雑貨大手の「無印良品」を誘致しようと、店舗を運営する「良品計画」と4月に協定を結び、5月に改修の設計費などの関連予算450万円を専決処分で決めた。これに対し議会は「独断だ」「議員に説明がない」などと反発し不承認に。
こうした対応について石丸市長は、「自分たちの体面、プライドのようなものを重視しているんだと受け止めざるを得ない」と会見で述べた。
議会への根回しや調整といった従来のやり方を重視するベテラン議員と、ユーチューブやXを使い、議会では議員と“ガチ”で言い合う石丸市長。このわかりやすい構図がユーチューブではまった。
切り抜き動画なのに再生回数100万回超えも
「市長就任時からメディアファーストでやってきましたが、政治再建がうまく進まない一つの原因がメディアでした。きちんと報道してくれないのです。これだけ田舎で人口増なんてことは本当に困難です。そこで、安芸高田市を少しでも知ってもらいたい、関係人口を増やしたい、そのためにはSNSで直接発信をする“炎上商法”じゃないかと考え、舵を切りました」
安芸高田市の公式チャンネルでの月1回の定例会見をユーチューブでライブ配信すると、1日でチャンネル登録が5千人以上も増え、バズるように。Xでも石丸市長のフォロワーは激増し、約24万7千人を数えるほどになった。