コウペンちゃん 「起きてえらい!」など、些細なことでもほめてくれる。(図版はるるてあさんのXから引用)

 ツイッター(現X)にアップされた漫画から人気に火が付いた「ちいかわ」。ほかにもSNS発の注目のキャラクターたちがいる。なぜ多く人の心をつかむのか。AERA 2023年12月25日号より。

【写真】外国人観光客も足を止めていた、コウペンちゃんグッズがこちら

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「おぱんちゅうさぎ」の主人公は、今にも泣きそうだが、ひたむきに健気に生きるウサギだ。22年、クリエーター「可哀想に!」さんがSNSにイラストを載せ、LINEスタンプなどでも人気に。可哀想に!さんのYouTubeチャンネル(登録者99万人)で、ショートアニメも公開している。

 同作の特徴は、とことん「かわいそう」であること。小銭をぶちまけて焦っているのに、街ゆく人はスルーしていく。小銭を拾うの手伝ってよ……。

「人と共有したくなるような、日常あるあるの話なんです。しかもキャラクターがかわいい。誰もがわかる不憫×かわいい=全世代に通じるコンテンツになるのだと思います」(Z総研の道満綾香さん)

東京駅の「コウペンちゃん はなまるステーション」では、ふわふわな見た目に引かれ、外国人観光客も足を止めていた(撮影/写真映像部・和仁貢介)
東京駅の「コウペンちゃん はなまるステーション」では、ふわふわな見た目に引かれ、外国人観光客も足を止めていた(撮影/写真映像部・和仁貢介)

人間味ある身近な存在

 SNS発のキャラクターには「人間味」があると道満さんは言う。

「ちいかわにお酒が好きなキャラがいるけど、SNSを見ていたらナガノさんもお酒が好きそうとか、人間味が見えます。おぱんちゅうさぎも、可哀想に!さんが体験したことを元にしているように思えますよね。とっつきやすいと思います」

 働く人をダイレクトに励ましてくれる「コウペンちゃん」もSNS発の人気者だ。

 17年にイラストレーターの「るるてあ」さんがツイッターに「出勤してえらい!」とコウテイペンギンの赤ちゃんのイラストを投稿。肯定してくれるペンギンの赤ちゃん「コウペンちゃん」と呼ばれるようになった。

 コマ割りなどはなく、水彩画のイラスト1枚の世界観。コウペンちゃんが、「休んでえらい」などと優しく声をかけてくれる。

 平日の午後、東京駅一番街の東京キャラクターストリートにある「コウペンちゃん はなまるステーション」にスーツを着た男性(30)の姿があった。東京出張に合わせて買い物にきたという。

「会社で『あ~疲れた』と思ったとき、コウペンちゃんがそばに来て『えらい』って言ってくれる。そんな気がしています」

 店を運営するキデイランド商品部部長の岸本天さんは言う。

「憧れの存在ではないけれど、いつも隣にいてくれるような、身近な存在ではないでしょうか」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2023年12月25日号より抜粋