これまで石井さんは、SORA-Qミッションや宇宙に関する講演をしてきたが、宇宙にロマンを感じていた世代の男性が熱心に質問を投げかけてきたのが印象的だという。
「アポロの月面着陸をテレビで見て、宇宙に対して熱い思いを持つ世代の方が、本当に月に行くSORA-Qの実物大スケールモデルを手にすることをすごいことだと感じて、購入されるケースが多い。われわれの製作意図をよくわかってくださって、とても嬉しいです」
一方で石井さんは、子どもたちにも宇宙に興味を持ってほしいと言う。
「子どもたちと話をすると、われわれが思っているより宇宙はあまりワクワクするものではない印象を受けます」
驚いたのは、「宇宙に関する何に興味関心がありますか」というアンケートの結果。3位が、「特に何も思い浮かばない」だったのだ。1位は「星や星座」、2位は「太陽や月」で、上位入りを予想していた「宇宙人(地球外生命体)」は11位だった。
昔は「スター・ウォーズ」「宇宙戦艦ヤマト」など、宇宙を舞台にしたメジャーなエンターテインメントが身近にあり、宇宙は心躍る存在だった。
「科学が発展したことで、できる事とできない事が明らかになったぶん、宇宙をストーリーではなく、知識として知ることが多くなりました」
石井さんは、もうすぐ月に着陸するSORA-Qを通じて、理屈ではなく、宇宙の面白さや楽しさを子どもたちに伝えていきたいという。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)