「『20枚売ってくれたら5枚分はキックバックします』と言ってきたことがあります。パーティー券を山のように持って歩く姿に“パー券大魔王”と呼ぶ人もいました。パーティー券を売るときに『パー券を売れば派閥の評価も高まり出世できる。当選回数が自分より少ない議員もすり寄ってきて、大臣の椅子も近くなる』と話していたことが印象に残っています。議員バッジをつけているんだから政治をしっかりやれよと言ってもパーティー券の方が大事って感じでしたよ」

 とAさんはいう。

 また、愛知3区の自民党の地方議員の一人は匿名を条件に、

「池田氏から『パー券を売ってくれ。キックバックを渡すから』と依頼を受けたことはありました。他の地方議員にも同じような話を持ち掛けていた」

 と打ち明けた。

“萩生田氏イチの子分”

 池田氏は、キックバックの事件が報じられると雲隠れした。

 記者も議員会館の事務所を訪ねたが、まったく応答はなかった。電話をしても通じず、Aさんから池田氏の携帯電話を記者の前で呼び出してもらったが、それもダメだった。

池田佳隆衆院議員の地元事務所に掲げられていたホワイトボード=2023年12月14日、名古屋市天白区

 なぜ池田氏が“パー券大魔王”と呼ばれるほど、大量のパーティー券をさばけたのか。

 政調会長を近く辞任する、安倍派「5人衆」の萩生田光一氏の存在を指摘する声が少なくない。

「池田氏は萩生田氏のイチの子分というほど親しくしていた。池田氏は萩生田氏に紹介を受けた企業や個人にもパー券を売っていた。その分は池田氏が一度、派閥からキックバックをもらい、萩生田氏に渡していたという話を何人もの派閥のメンバーが指摘している。特捜部の捜査が進み、池田氏の全容が解明されてくると萩生田氏もどうなのか」

 と安倍派の衆院議員。

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