世界で活躍してきた伝統を持つ日本女子は、今季前半のGPシリーズでも存在感を示している。GPファイナル(12月7~10日、中国・北京)で、シニアは坂本花織、ジュニアでは島田麻央が優勝。そして、これからの飛躍を予感させる成長株二人も表彰台に上がった。
ファイナルのシニア女子で銅メダルを獲得した吉田陽菜は、今季本格的にシニアデビューした18歳。全日本ノービス選手権を2連覇している吉田は、12歳の時にトリプルアクセルを成功させ、注目を集めた。その後怪我のため試合に出られない時期もあったが、復帰後は全日本ジュニア選手権で2019年3位、2020年2位と結果を残してきた。
昨季の吉田は国内ではシニアとして大会に出場、GPシリーズではそれまでコロナ禍により出場できなかったジュニアのカテゴリーに参加している。ジュニアGP2戦を連勝してファイナルに進出したが、ファイナルでは力を出し切れず6位に終わった。また全日本選手権で6位に入賞し代表に選出された四大陸選手権でも、ミスが出て8位だった。確かな実力をみせて大舞台に立つ権利を手にした一方で、大一番では本領を発揮し切れなかったシーズンだったといえる。
だがシニアスケーターとして出場した今季のGPファイナルで、吉田は勝負強さをみせている。吉田はGPシリーズ第1戦スケートアメリカ4位・第4戦中国杯優勝という成績で、再びファイナルの舞台に戻ってきた。ファイナルのショートではミスがあり4位発進だったものの、フリー冒頭でトリプルアクセルを着氷させたのだ。4分の1回転不足と判定されたが、その後の演技をまとめて表彰台に立った。
記者会見で、吉田はトリプルアクセルについて「GPシリーズで初めて片足で降りることができたので、回転不足ではあるのですが、嬉しいです」と語っている。
「去年はジュニアでファイナルに出てすごく悔しい思いをしたので、『シニアで戻ってきたい』と言っていたのですが、今シーズンまさか戻ってこられると思っていなかった。ファイナルに出られるだけでも、すごく嬉しかったです。今年は、ショートは失敗してしまったのですが、フリーはしっかり練習してきたことを出せて結果にもつながったので、少し成長できているかなと思います」