獲得したファイナルの銅メダルは、吉田がトリプルアクセル以外の部分でも優れていること、また大舞台で力を発揮できることの証明だ。
一方、ジュニア女子の銅メダルを獲得したのは13歳の上薗恋奈だ。昨季の全日本ノービス選手権で優勝し、期待の星として今季ジュニアデビュー。今季ジュニアGPでは第3戦イスタンブール大会2位・第6戦ポーランド大会優勝という成績で、ファイナルに進出した。
初の大舞台となるファイナルで、上薗は安定感抜群の演技をみせた。ショート・フリーを通じミスは軽度のエッジエラー一つのみに抑え、演技をまとめている。プログラムの随所で観る者を引き込む表情や所作をみせる上薗には華があり、これからの成長が楽しみだ。
ファイナルの記者会見で「ショートもフリーも緊張したのですが、自分がやってきたことを信じて、集中してやることができました」と振り返った上薗は、浅田真央さんに憧れてスケートを始めたことも明かしている。
世界の大舞台を経験した吉田と上薗は、全日本選手権(12月20日~、長野)に出場する。急成長中の二人は、国内最高峰の舞台でどんな滑りをみせてくれるのだろうか。(文・沢田聡子)
沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」