最新作「ウィッシュ」のヒロインは、魔法の王国ロサスに暮らす17歳の少女アーシャ。「願い」を取り戻すために立ち上がる。12月15日から全国公開 (c)2023 Disney. All Rights Reserved./配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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  創立100周年を迎えたディズニー。「白雪姫」から最新作「ウィッシュ」まで多くのヒロインを生み出してきた。時代とともにアップデートされるヒロイン像が見せる未来とは。AERA2023年12月18日号より。

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「この作品は私を助けてくれたディズニーへの私からのラブレター、お返しでもあるんです」

 そう語るのは「ウィッシュ」の脚本、製作総指揮のジェニファー・リーさんだ。大ヒット作「アナと雪の女王」の脚本、共同監督を務めた手腕を買われ、ディズニー100周年を飾る本作を束ねる重責を担った。

「ウィッシュ」のヒロインは17歳のアーシャ。彼女が暮らす魔法の王国ロサスでは、国民が自分の大切な「願い」を王に捧げることで、どんな願いも叶うとされていた。しかし、あるときアーシャは王国に隠された恐ろしい秘密を知ってしまう。そして「願い」を取り戻すべく、空から現れた“スター”や、大切な仲間たちとともに立ち上がる。

(c)2023 Disney. All Rights Reserved./配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

いまを生きる人たちへ

「私たちはディズニーのレガシー、クラシックなおとぎ話を祝福しつつ、いまを生きる人たちに共感を得られる物語を作りたかった。そのためにはアーシャが私たちと同じ、ごく一般的な人物であることが重要でした。『人生イイ感じ♪』と友達と楽しく日々を謳歌していた彼女が、大人の年齢に近づき『あれ? 世界は思っていたのと違う?』と気づく。そのなかで自分がどんな役割を果たしていくのか、自分がどんな人間になるのかを決めていく過程を描いたのです」

 確かに魔法の国に住んでいても、アーシャのリアクションや口調は実に「いまどき感」に溢れている。

「製作当時、私の娘が18歳だったんです。作業チームのメンバーにもティーンエージャーの子を持つ人が多く、彼らと10代について話しながらキャラクターを肉付けしていきました」

 本作が発するのは「願いは人任せにせず、自分で形にするもの」というメッセージだ。同時に、悪しき為政者の支配に人々が力を合わせて立ち向かう展開は、SNS時代の民衆の力を反映しているようにも感じる。

「世界がより複雑な場所になってきていると製作中から感じていました。本作は具体的な社会や国を設定したわけではなく、ひとつのステートメントを表すものでもありません。でも人類は誰もが互いにつながっている。そのつながりを大切にし、よりよい世界をお互いのために作っていくことがベター。本作がそのための会話や対話のきっかけになることを願っています」

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