政治資金パーティーの裏金問題で揺れる岸田政権、自民党、安倍派。このままいくと、リクルートやロッキード事件に匹敵するとの見方も出ているこの時期、パーティーを強行開催する議員もいる。安倍派に対する当てつけか、岸田首相への反発か。今、自民党内では、この先を見据えた様々な思惑と戦略が渦巻いている。人事、衆院解散、支持率……。今後、東京地検特捜部の捜査も本格化していくなかで、岸田首相の考えはいかに。
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【第37回「新政治経済塾」 ー広島と日本の未来を考える会ー】
岸田文雄首相の地元・広島で、こんな政治資金パーティーの案内が配られたのは11月ごろだった。
開催日時は12月8日午前11時から。会場は、県内で最大級の宴会場を有するホテル。昼食を兼ねてのパーティーで、広島県知事の湯崎英彦氏を講師に迎えての講演会も予定していた。
「中止になっちゃったよ」
12月6日、記者にそう電話してきたのは岸田首相の支援者だ。首相のパーティーはこれまで聞いたことがなく、記者も広島に取材に行く準備をしていたためだ。
「安倍派の裏金、キックバック問題が報道されはじめた12月初めに岸田首相の秘書から連絡があって、いつになるかわからないが延期する、と謝っていた。これだけ大きくニュースになってるから仕方がない」
広島県警の関係者は、
「緊急なことがなければ、岸田首相のお国入りもあるとされていたパーティーですから、万全の警備を敷いていたのですが。この情勢だと……」
安倍派が発端になった、パーティー券の政治資金規正法事件で、岸田首相は各派閥にパーティーの自粛を求め、12月7日に岸田派会長を辞任すると表明。そのタイミングで自身の政治資金パーティーも開催を断念したというのだ。
一方、そんな自粛ムードのなか、パーティーを強行する議員もいる。
永田町でも上位ランク
12月11日午後6時ごろ。東京都内のホテルの大きな宴会場は、政治家のパーティーでごった返していた。受付を済ますだけで15分以上かかるほどの長蛇の列。
二階派の武田良太元総務相の政治資金パーティーだった。
同じ二階派の議員は、
「岸田首相が自粛と言っているのによくやるよね。元々、反骨精神旺盛な武田氏らしい。それに永田町でもパーティー券を売る力は上位にランクされてますから、急に中止と言われてもできないのでしょう」