まずは人間関係の把握
50歳を前に意識を高めている冒頭の女性とは異なり、多くの人が「まだまだ先の話」と考えている終活。しかし、終活アドバイザーでNPO法人「ら・し・さ」副理事長の山田静江さん(62)は、「早めに50歳くらいから終活スタート」には大きな意味があると話す。
「50代は女性も男性も更年期などで体調が変わります。だからこそ『何かあったとき』のことを意識しやすいと思います」
では、具体的にどんなことから始めればいいのだろうか。
山田さんが「最も大事なこと」として挙げるのは、自分の「人間関係」を把握することだ。
年齢を重ねていく中で、自分に何かあったときに手を差し伸べてくれる人は誰か。その人に何を、どこまで頼めるか。もし頼れる人がいないと気づけば探すこと。「頼れる人とのつながり」こそが、人生の後半戦を左右すると山田さんは強調する。
「たとえば急な入院をしたとき、電話をしたら必要なものを持って駆けつけてきてくれる人が何人いるか。いなかったら、真剣に考えた方がいいです。頼れる人、信頼できる人を探すのは本当に大変。1年以内に見つけろと言われても難しい。その意味でも、早めの50代頃から終活していくのがいい」
2番目は「お金まわりの情報」を整理すること。自分が死んだり、重い病気や認知症になったときに備え、預貯金や不動産の情報などを一覧表にしておく。
「知られたくなければ金額の詳細までは必要ありません。大事なのは金融機関名など『どこに何があるか』です」
自分の相続人を確認
財産と言えば、将来の「相続」についても考えておきたい。
「まず、自分の相続人を確認しておくこと。とくに子どもがいない場合、相続人は親や祖父母、いなければきょうだいとなります。ただし人生100年時代、親はすでに亡くなり、きょうだいが相続人かと思いきや、実は105歳の認知症の祖母がまだ生きていた、なんてこともあり得る話。認知症の人が相続人になると手続きも大変です。子どもがいない人は、『自分の財産を誰に引き継ぐか』を『遺言』で残しておくのがいいと思います」
前述した財産の一覧表は相続手続きの際にも必要となる。