「地域の特性を決めるのは石。地質は地球史の縮図であり、石から地域の成り立ちを読み解くことで、今後の土地の在り方も予測できると考えています。五感をフルに使って石や地質を見るとともに、時間軸を行ったり来たりしながらその土地が将来どう変化するかをひたすら妄想するんです」。自身の判断が軸となり、事業全体のリスクを軽減できたとわかった時が最もうれしい瞬間だ。
元々は古生物学者を目指し、大学・大学院で地質学を専攻していた。熊本県の山中で地質を調べていた時、今の社長に声を掛けられ、この仕事に就いた。
趣味は石集め。仕事やプライベートで訪れた先では「個人的に気に入った石があると、連れて帰ります」。小学生の時から集め続けた石の数は数え切れず、家に入りきれない分は2畳半ほどの貸倉庫に収蔵している。
疲れて帰った日も引き出しを開けて、ルーペや顕微鏡越しに石を観察すると、あっという間にリフレッシュ。自他共に認める無類の石オタクだ。
「好きなことを仕事にしていいですね、って言われるんですが、公私ともに石なので私から石を取ったら何もなくなる。石は私そのものですね」
(ライター・浴野朝香)
※AERA 2023年12月18日号