八千代エンジニヤリング プロフェッショナル 長谷川怜思(はせがわ・さとし)/1978年生まれ、群馬県出身。大学・大学院で地質学を専攻。2003年に八千代エンジニヤリングに入社、地質・地盤の専門家として現在に至る。趣味は石集め(撮影/伊ケ崎忍)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2023年12月18日号には八千代エンジニヤリング プロフェッショナル 長谷川怜思さんが登場した。

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 石は奥深い特別な存在だ。石から得られる情報は宝だからだ。

「よく怪しまれるんですが、石の声を聞く仕事とでも言うんでしょうか」

 入社以来、ダムやトンネルなどの建設に不可欠な地質や地盤の調査・評価を専門としてきた。野外で大地にはいつくばりながら、岩石や地層を見分け、地質図をつくる。地質の分布や特性を科学的に分析したデータは、インフラ整備を適切に進めるうえで、重要な指針となる。

「どこにどんな石や地層が露出し、どう分布しているのか。その石は硬いのか軟らかいのか。どういう性質なのか。そんなことを取りまとめます」

 調査時や建設中の現場で産出する石の種類によっては、ミネラル分としてカドミウムやヒ素など自然由来の重金属が含まれていることもある。人体には必須元素である物質も過度に摂取し続けると有害となる場合もあり、時には法律に基づいた対策が求められる。地域の水や物質の循環も考慮しながら、安全かつ合理的で持続可能な対策を示す。

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