なよろ市立天文台で12月1日に観測された「低緯度オーロラ」(撮影:渡辺文健)=同天文台提供

 道北に位置する「なよろ市立天文台 きたすばる」でも、インターネット中継カメラがオーロラをとらえていた。

 台長の村上恭彦さんは1日の日没からカメラを回し始め、その映像を屋内で見ていた。

「ずっと曇っていたのですが、午後9時半ごろから北の地平線付近の雲が切れ始めて、そのすき間に『あれ、色がついている』と気づいたんです。慌てて外に出て、スチールカメラでも撮影しました。結構派手に写ってくれました」

 当初、外灯の光が画面に映り込んだ可能性が頭をよぎった。しかし、その光はゆらめくように動いていた。

「もうこれは完全にオーロラだということで、YouTubeのライブ中継を見ていたみなさんもドキドキされていたようです」

 視聴者からは「リアルタイムでライブ配信のオーロラを見ることができて本当に嬉しかったです」などと、コメントが寄せられた。

 村上さんによると、低緯度オーロラのライブ中継に成功したのは、おそらく国内初だという。
 

2001年3月31日に名寄市内で観測された「低緯度オーロラ」(撮影:佐野康男)=なよろ市立天文台提供

今回のオーロラ出現は「謎」

 なぜ今回の低緯度オーロラがこれほど明るくなったのか。理由はよくわかっていないという。

 村上さんによると、オーロラが発生すると予測はしていたものの、地磁気の乱れを表す数値の変化はそれほど大きなものではなかった。

「写真にはっきりと写るオーロラが出現する確率は、それほど高くありませんでした。なので『えっ、こんな数値で出ちゃうんだ』と思いました」
 

2001年11月24日に陸別町で撮影された「低緯度オーロラ」=銀河の森天文台提供

 銀河の森天文台の村田さんも同様に、オーロラの出現を予測する難しさを語る。

 低緯度オーロラが肉眼で見えた03年は、「ざっくり言って、今回の約10倍も大きな爆発が太陽面で起きた」と村田さん。今回と同程度の地磁気の変化では「空振り」のほうが多いのだという。

「今回は気象条件も含めて、さまざま好条件が重なったのでしょう」
 

 太陽の活動は11年周期で活発化し、現在はそのピークに向かいつつある。大規模なフレアの回数も増加しており、低緯度オーロラが出現する機会はこれからもありそうだ。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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